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【LAO起業講座 人事編①】 元の勤務先を辞める ~引継ぎと有給消化 (榊 裕葵/社労士)

   

サラリーマンが独立を検討するとき、まず考えなければならないのは、現職の退職です。

現職からの退職をスムーズに行うことができれば、独立成功への第一歩を踏み出したということが言えるでしょう。

まずは就業規則を読む

会社を退職するときには、自分の会社の就業規則をしっかりと読みましょう。退職日の1ヶ月前とか2ヶ月前とか、退職の届出をいつまでにしなければならないのかということが書いてあるはずです。

確かに、民法627条の定めによれば、月給制で雇用契約を結んでいる人の場合、月の前半に申し出れば、その月の末日には退職できることになっていますので、法律上の権利という意味で言えば、最短15日程度で退職をすることができるわけです。しかし、円満な退職を実現するためには、差し迫った事情がない限り、就業規則の定めに従うことが望ましいでしょう。「立つ鳥、後を濁さず」です。

引継ぎはしっかりと行うこと

退職する社員に対して会社が求めるのは、やはり、引継ぎをきちんと行ってほしいということです。その人がいなくなった途端に業務が止まってしまうということになると、お客様や同僚に多大な迷惑をかけてしまいます。

「どうせやめる会社なのだから知ったことではない」というような考え方は決してしてはならないと私は思います。円満に退職することができれば、自分が独立した後、もとの会社やその同僚が、お客様になってくれることもあります。しかし、不義理なやめ方をしてしまったら、そのような身近な仲間からサポートを受けることもできないでしょう。これまで折角築き上げてきた人脈や信頼は、退職後も大切にしていくべきです。

そして、私自身が独立したときの実感ですが、引継ぎは想像以上に時間がかかる作業です。退職まで1ヶ月や2ヶ月あったとしても、誰に、どの業務を引継ぎが上司と相談して決めたり、引き継ぐための資料整理をしたりしていると、あっという間に時間は過ぎてしまいます。だから、自分が退職するということは、自分の心の中では1年前とか半年前とかにはほぼ固まってくると思いますので、早め早めのうちに、ファイルやパソコンのフォルダを少しずつ整理し始めたり、どのように引き継ぐのかという段取りを考えたりと、Xデーに向け、粛々と前段取りを進めておくことをお勧めします。

有給はキッチリ消化しよう

退職にあたっては、できれば有給を消化したいというのが人情ではないでしょうか。転職をする場合には次の勤務先との兼ね合いで、なかなかうまく消化することができない場合も少なくないですが、独立前提の場合は、自分でタイミングを決められるので、有給休暇の残日数を確認し、引継ぎに必要な期間と有給残日数を合わせた日以後を退職日として退職願を提出すれば、計画的に有給を消化して退職することができます。

これは、個人の価値観によるところもあって「退職時の有給休暇なんて身勝手はなはだしい」という人もいますが、私は、有給休暇が残っているということは、在職中にそれだけその人が頑張ってきたということですから、最後の退職時には有給を消化するなり、買い取ってもらうなりすることが、むしろ会社と個人の公平なバランスなのではないかと考えています。

また、独立を前提として退職する場合には、完全に会社を退職する前に、1ヶ月ないし2ヶ月の有給消化期間があることは、大変有意義なことであると思います。その1ヶ月ないし2ヶ月で、これからのビジネスプランや人生について落ち着いて考えたり、セミナーや勉強会、交流会などに出席したり、人生の節目として親孝行をして両親と旅行に行ったり、といったような時間の使い方ができるわけです。

私自身も、ありがたいことに前職を退職する際には1ヶ月半くらいの有給消化をさせていただき、その間に社労士として仕事をしていくためのビジネスプランを煮詰めたり、先輩の同業者の先生に話を伺ったりと、いわばソフトランディングをするための猶予期間を得ることができたというわけです。

独立した途端、自分が仕事を取ってこなければ、毎月定期的に入ってくるお金はなくなりますから、退職後に「さて、ビジネスプランを考えようか」では遅すぎるのです。独立を目指す方は、是非、有給消化期間をソフトランディングのための期間として活用してください。

まとめ

このように、引継ぎをきちんと行うなど元の会社への配慮は充分に行いつつ、一方で、有給消化など自分の権利もしっかりと認識して、スムーズに、サラリーマンからの転身を図れるようセルフプロデュースすることが、独立成功への第一歩ということが言えるのです。

社会保険労務士 榊 裕葵

あおいヒューマンリソースコンサルティング 代表

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