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【LAO起業講座 会計税務編⑨】会社役員の退職金の決め方(栗田倫也/税理士)

      2015/05/05

今回は会社役員の退職金についてです。このブログの読者は創業前後の方が多いようですので、もう辞めるときのこと?とお思いかもしれませんが、リタイア時まで含めて大枠のライフプランを立てておくことは重要ですので今回はその参考にしてもらえればと思います。

支給額の決め方

一般的な会社では役員退職金規定というものがあり、退職時に一定の計算式をもとに支給額が決定されます。この規定において定めている計算方法は功績倍率法といわれるものが一般的には多いようです。

(功績倍率法)

退職金支給額=退職時最終月額報酬×役員在任年数×功績倍率

功績倍率は、会長・社長3倍、専務2倍、などのような倍率です。この計算式に基づいて退職金が決定されますので、最終月額報酬や功績倍率を高めに設定すれば高額な退職金の支給も可能となります。ただし、その会社の法人税の計算上、損金として認められるかどうかは別問題でしてこれが大きな論点となります。

法人税法上の限度額

税金の基本的な考え方は課税の公平です。つまり、同業種、同規模の会社においては役員退職金も同じような金額になるだろうという考え方です。そのため、同業他社よりも飛びぬけて高い役員退職金を認めてしまうと課税の公平が損なわれるということで、不相当に高額な役員退職金についてはその一部が損金にならないということになるのです。

とはいえ同業他社の退職金など知りようがありません。そこで、過去の裁決や判例等を参考にして実務上、“なんとなく”このくらいなら大丈夫ではないだろうか、というラインがあるのです。それが、会長・社長の功績倍率は3倍程度というラインです。また、退職時最終月額報酬は役員報酬として妥当な額であれば問題ありません。ただし、退職直前に急に上げたりしていると適正額ではないと指摘されかねませんので、気を付けてください。

退職金の計算にあたっては会社ごとにいろいろな背景もあるので一概に功績倍率法であれば問題ないというわけではありませんし、功績倍率法で適正と思っていたとしても、税務当局が持っている同業他社情報との比較で不相当に高額だと指摘してくる可能性もゼロではありません。正解がないのが法人税法における退職金なのです。

最後に

自分は創業者だし、絶対これくらいはもらわないと納得いかない!という額があり、それが株主総会で承認されていれば退職金としては有効です。そして、いくら支給しても個人の所得税の計算上は退職金として税金計算されますので、会社の法人税の計算上否認されたとしても、退職金としての性質に間違いがないのであれば、個人に追徴されることはありません。

とはいえ、役員退職金を支払えるだけの会社でないといけませんので、まずは会社を育てていきましょう!

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