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【LAO起業講座 法務編⑫】 知財入門〜特許権と著作権(竹井弘二/行政書士)

   

みなさん、こんにちは。

ビジネスを進めていく中で、障害となったり武器となったりするのが知的財産権ではないでしょうか。

今日は知的財産権の基礎を学習しましょう。

当社のサービスがパクられました

丸尾さん「先生、こんにちは。早々になんですが、当社のサービスがパクられました。すごく腹立たしいので訴えられませんかね?」

私「それは、穏やかではないですね。ただ「パクリ」というだけでは、何の権利を侵害されたのか分かりません。もう少し詳しく教えて下さい。」

丸尾さん「そうですね。当社で「中小企業御用聞き」というサービスを初めたのです。チャットでリクエストを受けて、当社のスタッフが対応するというサービスです。なかなか良い出足だったのですが、売上の伸びが止まったと思ったら、X社がほぼ同じサービスを始めていました。」

「ほら、腹立たしいでしょ。」

私「それって御社がCasterをパクったんじゃないの?(ボソ」

丸尾さん「何か言いました?」

私「まあいいや。サービスのパクリが直ちに権利侵害になるかは非常に微妙です。不正競争防止法なども検討範囲に入れる必要がありますが、紙面の都合もあるので、特許だけを対象にしてみましょう。」

丸尾さん「先生、展開がかなり強引です。」

私「ゴホン、ゴホン・・・」

「さて、特許は発明を保護するものです。法律の用語に則して言えば、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものとなります。そして、特許として認められるためには、進歩性や新規性の要件を満たす必要があります。」

「御社の「中小企業御用聞き」は、自然法則を利用した、とも言いがたいですし、そもそも新規性がないので、特許として保護される可能性は低いでしょう。」

「ちなみに、特許申請前にサービスインすると新規性の要件を失います。特許戦略を考えている場合には、サービスインと特許申請のタイミングに十分注意を払うべきでしょう。」

特許権と著作権

丸尾さん「なるほど、特許というアプローチはムリということですね。ところで、著作権っていうのは特許と何が違うのでしょうか?この間、ブログの記事をパクられた人が著作権侵害だと怒っていたので。。。」

私「確かにブログのパクリも多いですよね。著作権とは、自らの思想・感情を表現した著作物に認められる権利です。なお、著作者には著作者人格権という権利が認められ、著作物に氏名の表示を求める権利や著作物を勝手に改変されない権利(同一性保持権)などの権利などが認められます。」

「一方、著作権の内容として、複製権や公衆送信権、譲渡権などが含まれます。複製などは著作権者の権利であり、他者が行うことは認められません。

丸尾さん「ただ、文章を書くときに他の文章を引用することはありますよね?」

私「いい指摘です。著作権法32条1項で

公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

とされます。引用は合法なのですが、公正な慣行を守る必要があります。

文化庁の見解によれば、

  • 引用の目的上「正当な範囲内」であること
  • 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
  • カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
  • 引用を行う「必然性」があること
  • 「出所の明示」があること

といった要件を満たす必要があるようです。

パクって1行加えて終わり、みたいな文章では「主従関係」の要件を満たさないでしょうね。」

丸尾さん「ところで著作権は特許のように登録をする必要はないのですか?」

私「日本の法律ではありません。ただし、プログラムについて登録をする制度がありますので、プログラムの著作権を保護したい場合には検討してもよいでしょう。」

注意事項

この記事はわかりやすさを重視して、枝葉末節部分については言及を省略しております。

特許権・著作権の登録や侵害に関しては、専門家である弁護士・弁理士にご相談ください。

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