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【LAO起業講座 会計税務編⑫】減価償却費って何?(栗田倫也/税理士)

   

減価償却費とは

減価償却という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

学問的には細かい言い方がありますが、簡単に言えば、建物や機械、器具、車両などといった固定資産を買った場合、その時に全額費用とするのではなく、定められた期間(耐用年数)にわたって少しずつ費用にしていく、ということです。

この減価償却の方法はいくつかあります。代表的なものに、耐用年数に応じて定められた率(償却率)を取得価額に乗じた額を減価償却費とする定額法と、償却率を期首の帳簿価額に乗じた額を減価償却費とする定率法というのがあります。そして、減価償却をした分だけその固定資産の帳簿価額が減少していき、耐用年数が経過するタイミングでその帳簿価額は1円となります。耐用年数は固定資産の種類別に法人税法で定められています。

 ※取得時の費用にできる特例などがありますが、今回は割愛します。

 

支出と費用化のタイミング

このように固定資産を取得すると資金を支出するタイミングと費用化されるタイミングが異なりますので資金の動きだけを見ていると正確な利益計算ができなくなります。固定資産を取得するために多額の支出をしたにも関わらず、会計上はその一部しか費用にならないため利益が思ったよりも多く出てしまうということもあるのです。

この点、資産取得のための資金調達で資金繰りを確保する一方で、特定の固定資産を取得した場合に適用できる減価償却費を割増で計上できる特別償却や法人税額から一定額を控除できる特別控除などで納税額を圧縮する対策などを検討することも必要となります。

この支出と会計上の利益とのギャップを理解していないことで資金繰りに窮してしまうこともあります。この仕組みはよく理解しておきましょう。

会計と税務の関係

減価償却費を会計上いくら計上しても税務上は特段問題とされません。というのも税務上で調整するからです。

法人税法では前述のような方法で計算した額をその事業年度で費用にできる限度額としています。もし、その限度額を超えて減価償却費を計上した場合には、その超過した額は税務上費用として認められず会計上の利益に加算する調整をします。そして、税務上の固定資産の価額はその超過分が加算された額になります。

たとえば、1億円で取得した建物の減価償却費(定額法)として費用にできる税務上の限度額が200万円だったとします。そして会計上、減価償却費を99,999,999円計上したとすると、税務上では200万円を超過する97,999,999円が会計上の利益に加算されます。これにより、会計上の建物の帳簿価額は1円になるものの税務上の建物の価額は9、800万円になるのです。

翌事業年度は会計上では建物の帳簿価額は1円なので減価償却費を計上できませんが、税務上では建物の価額は9,800万円ありますので、当事業年度分として200万円を会計上の利益から減算して法人税を計算することができます。これにより税務上の建物の価額は9,600万円となり、その後1円になるまで続けることになります。

このように税務上では限度額までしか費用になりませんので、特段の理由がないのであればその限度額相当額を減価償却費として計上しておいたほうがややこしくなくてよいかなと個人的に思います。

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