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【LAO起業講座 会計税務編⑬】役員が社宅を利用する場合の取り扱い(栗田倫也/税理士)

   

会社が社宅用に不動産を賃借し、または、自社所有の不動産を社宅として役員に賃貸するケースにおいて、役員が負担する家賃について税務上問題となるケースが散見されます。今回はこの点について説明します。

 1.問題点はどこか

問題となるのは、役員が負担する家賃が一定額の家賃(賃貸料相当額)に比して著しく少ない場合または無償の場合です。税務調査でこの点が指摘された場合、賃貸料相当額と実際の負担額との差額が役員に対する給与とされます。

役員に対する給与とされるということは、役員個人の給与総額が増加することになりますので、源泉徴収や社会保険の徴収不足額が生ずることになり、役員個人の住民税負担額も増加します。

なお、その差額が毎月一定額であれば定期同額給与に該当することになりますので、役員報酬の損金不算入という規定の適用はありませんが、事業年度の中途から生じていた場合には、その事業年度においては定期同額給与と認められずに会計上の利益に加算して法人税を計算することになります。

 

2.賃貸料相当額とは?

では、賃貸料相当額とはいくらなのでしょうか。これは法人税法や所得税法という法律には書かれていませんが、税務署員が実務上参考とすべきお上からのお達し(通達)に記載されています。一般的にはこの通達のとおりの計算をしていれば税務調査において指摘されることはないと考えられています。

その通達には、いくつかの場合に応じてそれぞれ計算式が定められています(以下の金額は月額です)。

<<小規模住宅(耐用年数30年以下:132㎡以下、30年超:99㎡以下)の場合>>

次の合計額

・その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×0.2%

・12円×その家屋の総床面積(㎡)/3.3㎡

・その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

 

<<小規模住宅でない場合>>

次の場合に区分されます。

<自己所有の場合>

次の合計額の1/12の額

・その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×12%(木造家屋以外の家屋については10%)

・その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%

 

<借上社宅の場合>

上記<自己所有の場合>と会社が支払う家賃の50%相当額とのいずれか多い金額

 

なお、床面積が240㎡超の豪華な役員社宅は上記とは関係なく、時価相当額を役員が負担しなければなりません。

上記のように場合分けされていますので、社宅の種類等に応じて賃貸料相当額を算定して負担額を決めることが大事になります。

 

3.まとめ

社宅を利用することが問題なのではなく、負担額が少ないことが問題となりますので、役員が社宅を利用する場合は負担額をケチらずに、きちんと払いましょう。

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