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【LAO起業講座 人事編⑭】 不当解雇トラブルが発生した場合の対応 (榊 裕葵/社労士)

      2015/08/05

多くの経営者の方が肌身で感じていらっしゃるように、我が国は解雇規制が非常に厳しい国です。

近年は、弁護士の増加や、労働者の権利意識も強まって、解雇無効を争う訴訟も増加傾向にあります。

そこで、経営者が解雇に関するトラブルにどう対応するかを本稿では説明していきたいと思います。

解雇は最後の手段

まずは、解雇をすること自体を可能な限り避けることが賢明です。

再教育や配置転換によって雇用を維持することも解雇前に選択肢としては検討しましょう。

それでもやはり社内において活躍の場がないということになったとしても、いきなり解雇にするのは得策ではありません。

まずは本人と話し合いを持ち、会社における現在の情況や、会社が本人をどう評価しているかを説明し、本人にも納得させて合意退職とすることが望ましいです。この段階では、まだ会社側からは「退職してください」とか「解雇します」という言葉を使ってはなりません。

合意退職が得られなかった場合は次のステップとして「退職勧奨」を行います。このステップではじめて「退職をする意思はおありでしょうか」とか「退職届を出して頂けませんか」という言い方をします。先ほどの合意退職と退職勧奨の違いは、「退職してください」という言葉を会社が使うかどうかです。あくまでも本人が自由な選択肢から自発的に退職を選ぶのが合意退職、会社からの働きかけによって本人が退職をするのが退職勧奨です。

細かいかもしれませんが、たとえば、雇用に関する助成金を申請する際に、合意退職ならばOKだが、退職勧奨により退職した社員がいた場合には不支給になる場合があるなど、退職勧奨を行うと会社にとって不利益が生じることもありますので、社労士に相談するなどしながら慎重に進めてください。

退職勧奨をしてもそれに応じない場合は、いよいよ解雇を検討することになります。

解雇の際に気を付けること

言うまでもなく、解雇は慎重に行わなければなりません。

まずは、解雇を言い渡す前に、裁判になっても勝訴できるだけの証拠を固めておくことです。

何回も指導書や始末書を書かせて指導しても改善しなかったとか、遅刻や無断欠勤がやたら多いとか、懲戒解雇に該当するような悪事を働いたとか、裁判官に「こりゃ解雇されてもしかたがないね」という心象を持ってもらうための客観的証拠が必要なのです。

もちろん、本人が訴えなければ何も起こらないわけですが、人事労務のマネージメントは常に最悪の事態も頭の中に置きながら進める必要があります。

そして、解雇を言い渡すにあたっては、あらかじめ本人に弁明の機会を与えるなど、手続き上の適正さも大切です。

また、懲戒解雇に該当するような場合を除き、30日前の解雇予告、または30日分の解雇予告手当の支払も必要ですので、解雇を言い渡すタイミングにもご注意ください。

 

 

 

 

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