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【LAO起業講座 会計税務編⑲】税務調査が・・・(栗田倫也/税理士)

      2015/12/16

起業して3年から5年程度経つあたりから税務調査が入る可能性がでてきます。その後も定期的に3年から5年ごとに入ることが多いです。税務調査と言われると何か悪いことをしたかのうように思ってしまいますが、普通はそうではありませんので安心してください。今回は、そんな税務調査について説明します。

 税務調査って?

税務調査とは、会社が適正に税務申告をしているかどうかを税務署の調査官がチェックしにくる、というものです。一般的には1人から3人程度で会社に来て2、3日かけて過去3年分の会計処理をチェックし、間違いや不正がないかを確認します。間違いがあると、その間違いを反映させた申告書(修正申告書)を提出して追加で発生する法人税等を納付します。その追加で納付した法人税等は本来当初申告時に納めるべきものであるため、当初申告が過少であったことに対する罰金として過少申告加算税、当初申告期限から実際に追加で納めた日までの日数に応じた延滞税という罰金も納付しなければなりません。もし故意に税額を減少させようとしたとなると、過少申告加算税に代えて重加算税というさらに重い罰金もあります。こういう場合に該当すると過去3年どころかもっと遡って調査されることもあります。

税務調査の流れ

通常の税務調査の場合、調査官がいきなり会社に来るということはありません。まずは顧問税理士に連絡がきます(顧問税理士がいない場合は会社に直接連絡がきます)。そして税理士が社長と日程を調整して調査日を決めます。調査官から希望時期を言われますが、本業優先で構いません。都合が悪い時は無理と言っていいのですが調査自体はなくなりませんので、どこかで調整をして日にちを決めます。

調査の日、調査官は午前10時頃にやってきて午後4時頃帰っていきます。初日の午前中は会社の沿革や商売の中身など社長へのヒアリングが主な内容です。そして午後から総勘定元帳を確認し始めます。売上・仕入れについては取引先との契約書や請求書の控えなどを確認していきます。特に期末近辺の取引について当期に計上すべきものが当期に適正に計上されているかチェックします。その次は経費項目です。主に交際費、会議費、旅費交通費、消耗品費、修繕費などについて社長個人の私的利用の有無をチェックするとともに、会議費については5,000円基準の要件(得意先名、人数の記載)を満たしているかどうか、消耗品・修繕費については固定資産に計上すべきものがあるかどうかのチェックです。

帳簿や契約書等だけではわからない点があると追加で資料の提出を求めてくることがあります。最近は得意先とのメールのやり取りを見せて欲しいと言われることが増えてきました。それでもわからないような場合は取引先にヒアリングに行くこともあります。これを反面調査といいます。取引先からの信用不安が生じかねませんのでなるべくそうならないように自社の資料ですべて説明がつくような取引をしておくことが肝要です。

その他の事項としては会社と役員(その親族を含む)との取引です。役員との取引には恣意性が含まれやすく、役員が特別な利益を享受していたりする場合もありますのでよくチェックされます。

指摘事項の確認

調査も終盤になると社長と税理士、調査官とで指摘事項の確認をします。そして会社としてその指摘事項を受けて修正申告をするかどうかを判断することになります。調査官は帳簿書類等だけを見て判断してきますので、その会社の業界特有の商取引を理解しているわけではありません。そのため一般的な取引であるにもかかわらず、寄附金とか役員報酬とか指摘してくる場合があるのです。問題がない取引であれば受け入れる必要はありません。その事情や背景をきちんと説明し、どうしてそういう取引になるのかを客観的に分かる資料などを追加で提出します。

こういった交渉を経て、最終的に会社が修正申告をするのか、修正すべき事項がないのか、決着がつきます。修正すべき事項がある場合は、調査官はなるべく修正申告をするように勧めてきますが、もし指摘事項に納得がいかず修正申告をしない場合には、税務署長の権限で更正(税務署が税額を決めること)という手続きをしてきます。通常の調査では更正まではしないので、どこかで落としどころを見つけるのが一般的です。

なお、指摘事項の中で役員報酬に該当するものがあると、法人税や消費税の修正申告だけでなく、源泉所得税の徴収漏れにもなります。そしてその役員についてはその年分の年収が増えることになりますので、住民税などへの影響もでてきます。これがあると会社だけなく個人も痛いので指摘されないようにちゃんと確認しておきましょう。

まとめ

適正な取引と会計処理をしていれば税務調査は怖いものであはりません。とはいえ何が出てくるかがわからないのが税務調査です。会社が大きくなればなるほど社長が把握していない取引も増え、従業員による横領などが発覚することすらあります。また、会計処理上のミスであれば修正申告をしても大きなペナルティはありませんが、故意に税額を減らそうとして書類を改ざんしたり、資金を迂回させたりすると、悪質と判断されて刑事事件まで発展することもあります。よく「税金をちゃんと払ったほうがお金はたまる」と言われます。悪さをすると後々たっぷりとお灸をすえられますので、そんなことはしないようにするのが第一です。

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